千年の孤独

田中泉(タナカ セン)によるレビューブログです。

もし朝起きて街にゾンビが徘徊していた場合、どうするか考えることがある

そう言うと、「大丈夫かこいつ」と言いたげな目で見られる。何が起こるか分からない世の中なんだし、そんなことだってもしかしたらあるかもしれないじゃない!とその度に内心で憤慨している。

 

とはいえ私は元々、ゾンビ映画が苦手だった。「何が面白くてあんな気持ち悪いものを観るんだ」とさえ思っていた。それが今や自ら好んで観るようになったので、人の変化とはよく分からないものである。今回はゾンビ映画が苦手、という人のイメージを変える3作品を紹介したい。

 

 

 

ショーン・オブ・ザ・デッド

 

昔、近所のレンタルビデオ店でバイトをしていた私は先輩に「ショーン・オブ・ザ・デッド」という映画をお勧めされた。「ゾンビ映画は嫌いなんですけど」と苦言を呈する私に、先輩は「まあまあ、とりあえず観てみなよ」と半ば無理やり押し付けられた。

 

 

先輩の言葉を無下にすることもできず、覚悟を決めてその「ショーン・オブ・ザ・デッド」を観た私は驚いた。馬鹿馬鹿しさの中にしっかりと生々しいシーンはあったが、ゲラゲラと笑って観られるゾンビ映画だったのだ。

 

ショーン・オブ・ザ・デッド」はロンドンが舞台の作品だ。冴えない家電量販店の店員であるショーンはその不甲斐なさから恋人のリズに愛想を尽かされてしまう。ショーンは親友のエドとパブで飲んだくれ、二日酔いのまま目を覚ますと街はゾンビで溢れ返っていた……。

 

この作品は元祖ゾンビ映画ドーン・オブ・ザ・デッド」へのオマージュ作品である。そのため、しっかりとゾンビ要素は押さえており、ただのB級ゾンビ映画に留まらない。しかし、凄惨とした街の姿を目にしたショーンは「リズと母親を助けて、パブに避難しよう!あそこなら頑丈だし酒も飲めるぞ!」と考えるところに絶妙な突っ込みどころがある。普通、逃げ込む場所として「ドーン・オブ・ザ・デッド」のようにショッピングモールを挙げる人が多いだろう。舞台がロンドンだからこそ、パブに立てこもる選択肢が出てくるのだ。

 

特に注目して欲しいのは、パブに逃げ込むも襲いかかってくるゾンビとのバトルシーン。とある有名過ぎるロックバンドの楽曲をBGMに、テンポ良くゾンビに立ち向かうシーンは吹き出してしまうのではないかと思う。

 

 

 

ゾンビランド

 

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謎のウイルスによって生まれたゾンビが蔓延り、人類が絶滅状態になったアメリカ。引きこもりでおたくの少年、コロンバスは「生き残るための32のルール」を作り、実践することで1人生き延びていた。両親の元へ向かおうとする道中に筋骨隆々な最強ゾンビハンターのタラハシー、プロの詐欺師でもあるウィチタとリトルロック姉妹に出会う。一度は騙されるも、共に行動をとることを選ぶ4人。ゾンビがいないと噂される、とある遊園地を目指す4人の運命は……?

 

まずなんといってもキャストが良い。主人公、コロンバス役は「ソーシャル・ネットワーク」主演のジェシー・アイゼンバーグ。冒頭の台詞でFacebookがネタになっているのも、何か運命めいたものを感じる。

 

キュートな詐欺師姉妹の姉を演じるのは「アメイジングスパイダーマン」のヒロインで注目を浴びたエマ・ストーン。「バードマン」での演技も素晴らしかった。あと可愛い。可愛いなかにもエロさがある。最高。妹役はアビゲイル・ブレスリン。小さい頃出演した「リトル・ミス・サンシャイン」もまた良い作品だ。

 

最強ゾンビハンターだが、アメリカのお菓子トゥインキーが好きというギャップもあるウディ・ハレルソン。ゾンビに囲まれるも、1人残らず倒すシーンは凄まじかった。空になった弾丸を装填するシーンのかっこよさたるや。そんなタラハシーが探すお菓子、トゥインキーは腐らないなんて都市伝説もある、わりとポピュラーなお菓子だそうで。食べてみたいので詳細知ってる人がいれば教えてください。

 

この「ゾンビランド」はタイトルに「ゾンビ」とあるけれど、スプラッター的な表現は全然薄い方だと思う。最初こそ「ウグッ」となりそうなシーンはあるものの、「ショーン・オブ・ザ・デッド」に比べたらゾンビ映画初心者には優しい。まあ、とある大物ハリウッド俳優を本人役で出演させ、雑な扱いをするようなコメディ映画なので本当にかるーい感じで観られます。どうやら続編もあるとの噂。

 

 

 

ウォーム・ボディーズ

 

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生きていた頃の名前も思い出せないゾンビの青年、R。彼はある日、人間の女の子、ジュリーに一目惚れする。ゾンビ仲間と食料探しに来た際に出会い、周りが人間を捕食していくなかでジュリーを助けるR。最初は怯えるジュリーであったが、数日を共に過ごすうちに2人の仲は深まっていく……。

 

なんと主人公がゾンビ。ゾンビといえば顔の肉が腐って崩れ落ちているようなイメージかもしれないが、Rはイケメンだ。

 

この作品はゾンビは空港にたむろしている一方、人間はバリケードを築いて武装している。決定的に人間とゾンビに溝が生じているが、片言ながらも言葉を話し、「キミヲマモル」というRにジュリーは心を開いていく。音楽が好きでレコードをたくさん持ち、古ぼけた飛行機の中で暮らすRとジュリーのシーンに様々な音楽がかかるのだけど、そこが凄く素敵。

ただ、Rがジュリーの元カレ(死亡)の記憶を垣間見るシーンはちょっと表現がグロいので、その点だけは注意が必要だ。

 

決して許されないゾンビと人間の恋。しかしそこから生まれる奇跡によって変わる世界。ゾンビ映画だけでなく、ラブストーリーでもあるこの作品、私はとても好きです。

 

キャッチーなゾンビ映画3作品について紹介したが、どうだったでしょうか。「気持ち悪い」、「グロい」というマイナスイメージを持たれがちなゾンビ映画ではあるけれど、全部が全部そうではないということを伝えたい。3作品のいずれかを観たことで、新たな出会いに繋がれば幸いです。